知夫里島のイワガキの作業現場をのぞいてみました
2022.08.05
こんにちは、山ちゃんです。島民が大好きなイカ釣りシーズンが到来、ケンサキイカのおすそわけをいただくことが増え、毎晩のおかずがさらに豪華になりました😋
さて、今回は知夫里島のイワガキのお話です。知夫のイワガキは3~6月が旬で、夏はあまり話題になりませんが、牡蠣漁師さんは夏もしっかりイワガキの仕事をしています。みなさんの食卓にイワガキが並ぶまでにどんな工程があるのかご紹介したいと思います。
知夫の牡蠣漁師さん
知夫には6人の牡蠣漁師さんがいます。今回はベテラン牡蠣漁師のあきやんにお話を伺いました。(昔は民宿やタクシー、ヒラメ養殖などもやっていたらしく、いつかあきやんのインタビュー記事も書いてみたい)
出荷時期以外は何をするの?
春、イワガキの出荷時期は水揚げして磨いて発送して、と漁師さんはとても忙しく働きます。特にゴールデンウィークあたりが忙しさのピークとのこと。
私も5~6月は出荷するイワガキの殻を磨く作業をお手伝いさせていただき、海士町や西ノ島の島留学生もイワガキ事業に携わっているみたいです。少し聞いた話では同じイワガキ養殖でも島によってやり方は異なるようです。
出荷時期以外は、来年出荷するイワガキをさらに大きく成長させるために耳吊りを行います。ホタテの貝殻にカキの赤ちゃんを付着させて海の中で育てますが、カキ同士がひっついて大きな塊になっていました。
コレクターと呼ばれる採苗器についているカキをばらしていきます。今は電動の器械を使って素早くはずすことができますが、ハンマーでやっていた昔は、このばらし作業にとても時間がかかったようです。
ばらしたものは大きさごとに分けていきます。耳吊りするときにだいたい同じ大きさのもの同士を合わせることで、競い合って大きくなるのだとか。
そして、耳吊りのロープ作り。昨年使ったロープにはフジツボなどの貝が付着していたりするので、ハンマーで叩いてきれいにします。それから、50㎝ほどのナイロン紐を等間隔に9本結びつけます。そのナイロン紐に、ドリルで小さな穴を開けたカキを通します。
耳吊りしたカキはまたイカダにつるし、来年の出荷まで海の中でプランクトンを食べて大きくなります。
大きなイワガキを作るために
イワガキの天敵はイシダイ。強い顎で殻をくだいて中身を食ってしまうのです。モリで突いたり網を仕掛けて駆除しなければなりません。
1匹ずつイシダイを退治するには限界があるため、知夫ではカキイカダの周りを網でぐるっと囲い、イシダイが入ってこないように守っています。しかし、網で囲ってしまうと、カキの成長に必要なプランクトンまで網の中に入れなくなってしまいます。
そこで、網の中でプランクトンを発生させればいいじゃないか!と漁師あきやんは思いつきました。鉄炭団子(鉄と炭素を合わせたもの)と腐葉土をネットにいれ、カキイカダにつるします。プランクトンの栄養分となる鉄分が海の中に溶け出すのです。効果は1年ほどなので毎年入れ替える必要があるようです。
5年前くらいからこの方法をやり始め、カキの実入りがとても良くなったとあきやんは語ります。知夫は河川が少なく山が低いため、海にプランクトンが少なくカキの成長には時間がかかっていたみたいです。
知夫のイワガキが美味しい理由は
コロナ禍で出荷量が落ち込んだときは、イワガキの冷凍を始めたそうです。冷凍のポイントは一番美味しい時期のものを冷凍すること、そして急速冷凍することでドリップ(水分がでること)を防ぎ、うまみ成分をそのまま閉じ込めます。
自分で様々な工夫をしているあきやんはテレビのニュースからヒントを得ることが多いそう。カキも自分の子どもと同じように大事に育てています。手間暇かけて3年間育て上げたイワガキはぷりっとクリーミーで絶品!
知夫のイワガキは「隠岐のいわがき」として海士町や西ノ島との共同ブランドと、さらに規格を厳選した知夫里島のオリジナルブランド「櫻華」としても販売されています。
これから、イワガキの種を採りホタテに付着させる作業もやっていくみたいなので、またレポートしてみたいと思います。
来年の出荷シーズンが一層楽しみになりました😊
ひとこと
広島出身の私は県外に出て初めて、春や夏に食べるカキがあることを知りました。広島ではカキといえば冬に食べるものだったからです。
それが知夫にやって来てイワガキに出会い、見たことないカキのでかさと、まさに海のミルクのような濃厚さに衝撃を受けました。カキ好きには知夫里島は天国だ~!
by 山ちゃん