見出し画像

知夫生まれ、知夫育ちから見る知夫里島(職員インタビュー)

¡Hola!
知夫村役場で一カ月半の間インターンをさせていただいている大学二年生の近藤未有です。


今回は私がインターンをしている役場のKさんにインタビューをさせていただきました。


簡単な紹介

Kさん
知夫で生まれ育ち、大学進学を機に上京。卒業後は企業に一年勤め、その後は警察官に。30歳頃に知夫に戻り、知夫村役場に勤める。

知夫生まれ・知夫育ちならではの幼少期のエピソード

ーー知夫での幼少期エピソードを教えてください
「小学校、中学校、ずっと15人で同じように育ってきたから、高校に行った時は同学年の子が沢山いてびっくりしたね。

子供のころは毎日のように山に行ってね、夏はずっと泳いどったしね、そんで貝とって火を焚いて食べたりね。松葉を砂浜に穴があいているところに入れるとヒューって釣れるんよ。定年退職したらまたやろうかなって思って。笑 それを流れ着いた缶の中に塩水を入れて、釣ったその貝をそこに入れて火焚いてそれを食うとかね。

ボッカ(カサゴ)の穴釣りしたり、山から竹を取ってきて、竿を作って魚釣りをしたり。

秋はあけび(木の実)取りに行ったりね。あけびのつるがあるでしょ。それを木の上に引っ付けてその上で寝るっつう。ツリーハウスみたいな感じ。そんなことしたり。

そんで冬になると雪が降るでしょ。木馬ってソリみたいなのを自分で作って、赤ハゲくらいまで登って、そこから降りてくるっちゅう。木馬は自分で作らないとないけん、木で作る。あとは、赤ハゲ、丘になってるが、ああいうところに段ボールを持って行って春とか秋に滑るんだわね。怖いけんスリルがいいよ。

島に帰る決断をした訳

ーー上京後になぜ島へ戻ろうと思ったんですか?
「もともと帰って来ようと思ってたけど、うちの父親も元気だし、そんなに急ぐつもりはなかったけどたまたま役場の募集があったので、帰ってきたっちゅう話。
もう一つは奥さんがいいよって言ったから。

小さいころに魚釣りをしたり、あけび取りをしたり、そういうのが好きだったけん、そういう生活がしたくて。あとは親が牛を飼ってたので牛を飼おうと思って。ちょうどその時がたまたま30くらいだったってことで。」

帰島してから

ーー数年ぶりに島へ戻ったときはどう感じましたか?
「特に変化はなかったけど、けどね、帰ってくるとなかなか忙しくて、なかなか魚釣りとか行けなくて、そこの葛藤はあったね。

父親と一緒に牛を飼うとけんかになるから、ちょっと距離を置いて、そんで役場に勤めて、手伝いみたいな感じで。」

知夫での暮らしについて

ーー知夫での暮らしで好きなところ・苦労しているところを教えてください
「結構行事が多かったり、やることがいっぱいあってね。今はもう年とったけんだいぶ役員がなくなったけど。PTA会長、消防団分団長とかね。色々やってきたよ。

島には葬儀屋さんがおらんけん、葬儀を自分でやらんといけんからそういうとこが大変かな。
あと、島だけん仕事で本土と隣の島に行くのに、海が荒れて行けんかったりしたら会議がなくなってしまうから、で、また日程調整したりとか。
でも慣れだけどね。すぐ慣れる。予測がつくけんね、予備日を先に決めておくとかね。いろんな経験をすることで、ある程度勘が働く。

好きなところはコンパクトシティってとこかな。島の中である程度完結できるでしょ。診療所もあるし、学校もあるし、物資もまあまああるし。集落がポツンとある山間部の一部とかと比べるとこっちの方が意外と便利でしょ。」

知夫の課題

ーー知夫の課題について率直に教えてください。

「今の暮らしを維持できるか不安だね。人口が100人とかになった時に診療所とかが維持できなくなる。確実に人口は減ってきてるけん。

だけん、便利になってフェリーが着くようになったりとか、ネットの環境が整ったり、下水道が通ったりするけど、逆に人口が減ってきたけん、それを今度は維持するのが大変になってきたね。そういうのを管理する人がおらんと動かんが。

あとは燃料がどうなるかだね。ガソリンとかないと生活できんくなるが。船も動かんし。」

知夫の未来像

ーー知夫の今後あるべき姿・テーマを教えてください。

「島の魅力はいっぱいある。けど、住んでみたら少なからずギャップがでるけん、その辺をどう乗り切るかかなあ。

役場でも普通の市役所とは違うけんね、何でもせんといけん。
普通は公務員は広く浅くだけど、ここは広く深くマンパワー(人の力)がいっぱいいる。人口は600人だけど、そのうちの40%は60歳以上だけん、労働人口は20%ちょっとくらいしかいないけん。労働人口が多くないと社会の維持が難しくなる。高齢化だけん、なかなか難しいよ。高齢者でも草刈りするでしょ。元気じゃないとここにおられん。

よく『ここの島は元気な人が多いね』って言うけど、元気じゃないとおられんけん。病気になったら離れたくないけど、島を離れんといけん。だから必然的に元気な人が残る。
逆にそうやって気張ってるけん元気かもしらんしね。

移住促進も進めてるけど、住むと体験じゃ全然違う。でも体験してみんと良さが分からんし。なかなか難しいね。

だから交流人口が増えるといいよね。定住人口を増やすのは難しいけん、まずは交流人口でなんとか増やしていきたいね。
まぁ何が正解なのかわからんね。それは永遠のテーマだね。
恋もそうでしょ。笑 永遠のテーマ。正解がない。」