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漁師担い手ツアーを自治体が2年連続実施した結果…

2022.12.10
こんにちは!島根県隠岐諸島の知夫里島からお届けしているAgoです。
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
11月28日は知夫の伝統行事「蛇巻」が行なわれ、7地区でそれぞれで藁をねじって蛇を作り、疫病退散を祈りました。
今年はびっくりするほど暖かくて、恒例のドカジャンにニット帽の人々がウインドブレーカー1枚で軽やかに作業をしている姿が新鮮でした。

それが、12月1日から

ズーンと寒くなって

そうだ、これが知夫の冬だ、、、

と思い出しましたよ(TдT)

それはさておき、10月に実施した漁師担い手ツアーの結果と2年連続実施して感じた現実についてお届けしたいと思います。
まずは、島の現状からどうぞ!

年々深刻化する沿岸自営漁業者の担い手不足

まず日本全体のお話ですが、漁業を支えているのは沿岸自営漁業者なんですね。グラフにあるように現在でも8万人近い漁師さんがいらっしゃいます。
しかし、昭和63年~平成30年までの30年間で約半分まで減っていますね。高度成長期に集団就職により大量の若者が都会に流出しました。それまで、代々漁業を生業としていた人たちは、跡継ぎがいなくなり廃業していきました。また、知夫で言えば網漁は一度に沢山の漁獲量を狙えますが魚が採れた後、網から外す作業に人手がかかり、家族や親戚に昼夜問わず手を借りられるような環境がなければ個人事業主でやるのが難しいため、一本釣りや採貝藻に偏ってしまいます。

水産庁ホームページ(1)漁業経営体構造の変化より

さて、ここからが知夫のお話です。
知夫の漁業者数は、人口600人の中で64歳までの漁師さんは片手で数えられるほど。安定的な収入になるのは岩牡蠣養殖とヨコワ漁ですが、養殖場の面積や漁獲制限などで新規参入が難しいところです。

しかし、販路開拓はまだまだ進められますし、ふるさと納税の需要は高まっています。引退される方から船や漁具を承継するチャンスも遠い話ではありません。何よりも、知夫村はステークホルダーとの信頼関係をしっかりと築くことができれば、漁業権や船の係留場所などが他の地域に比べると取得のハードルはとても低いのです。

本当に漁師を志す者は来るのか?

さて、そんな状況の中、我々は無謀に、いや無責任にもこの著しく衰退した知夫村の基幹産業である漁業をなんとか復活させたい。それに共鳴するハングリー精神を持った新たな担い手を求め、全国に募集をおこないました。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで昨年は『田舎暮らしの本』
そして今年は『TURNS』とタイアップして漁師担い手ツアーを実施しました!!

その結果、、、新規漁業就業者は!?

0(ゼロ)

(¯―¯٥)


遠い道のりです…

そもそも、漁師希望者が来てくれる確率は数%

もし、参加者0(ゼロ)だったらどうしようという不安もあり、企画を漁師一択に振り切れなかったというのが本音ですorz

しかし、それが、、、

予想を超える嬉しい誤算

 募集は移住体験ツアーが大きく見出しになりましたが、ご参加いただいたみなさん、それぞれが明確な目的を持っていらっしゃいました。

  • 大自然の中で生活するイメージを掴みたい

  • リモートワークと地域の仕事の兼業をしたい

  • 女性漁師の可能性を知りたい

  • 海の環境に関することを知りたい

  • 水産業の将来性について知りたい

  • 釣りがしたい

大自然の中で生活したいという方は以前から多かったのですが、フルリモートをきっかけに地方移住を検討される方は増えていて、今回それがとても実感できました。また、漁師の担い手不足や水産業全体の問題、環境問題を地域課題として考えている方もいました。
知夫里島近海でも、海藻類の減少で磯焼けが起こっています。漁獲量が減る中、近い将来自然循環に力を入れて取り組まなければならないでしょう。
しかし、なにより心を打たれたのは、この企画を通じて出会った人達が徐々に移住と本気で向かい合い、その地域と風土を前向きに吟味している姿でした。
その土地の悩みを共有したり共に解決していくことが地方移住の興味関心になっていると感じたのは、なぎんこさんの動画再生数を見たときでした。

地域課題を遠くから自分事として考えている人は少なくないはず。これも地方に興味をもっていただけるきっかけになると実感しました。

来年は漁師担い手一択なのか?

これまでの経験を踏まえて、来年は参加者0(ゼロ)を恐れずしっかりとターゲットを絞った漁師担い手ツアーをやろうという話が出ています。
ツアーの効果というのは驚くような形で広がるものですね。こんな時代だからこそ実際に島に足を運んで地域を見てもらい住む人の思いを聞いてもらう機会を作ることの重要性を強く感じました。
ツアーに参加された方とその後も様々なフィードバックをもらう機会がありますが、今後はその環境を島全体で作れるといいですね。


余談

実は、ツアーと直接関係無いのですが、漁師希望の若者が知夫へやってきました。人が人を呼ぶという現象になっていて驚いています。

知夫の水産業に様々な人が関わり、2023年も新しい可能性の芽が吹く年になりそうです。

それでは、みなさま良いお年を~

来年もよろしくお願いいたします!

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